二日酔いと貧血と共に

キッチンドランカー東京OL(常に貧血)

2020-01-01から1年間の記事一覧

目を閉じて廻る世界。

舌の上にかすかにレモンが残っている。本物の果実ではない。人工甘味料のレモンがたしかに残っている。散らばった記憶を掃除機で吸い取り、ここに集める。わたし、なにしたかな?大丈夫。目の前にあるレモンサワーが視界に入る。わたし、ちゃんとやれている…

甘い蜜吸って

もはや何杯目かなんてわからないのです。いいえ、それは別に大事なことではないの。都心の一角で、私はノラ酒をしている。鼻を抜ける熱燗の香り、ダイレクトに伝わるアルコール。日本酒が好きなわけではないのに、どうしてこうも落ち着くのだろう。目を瞑り…

24才の私。

受付で泣いていた私を食事に誘い続けた彼と、仕事を辞めるのを機に食事に行った。最後だしいいかって。彼が選んだお店は麻布十番の隠れ家レストラン。食事中なにかの会話で私は予防線を張った。彼氏が〜でと話した。彼は私に交際相手がいるかいないか探って…

じっちゃんとの思い出

最近父から魚が届いた。職場の先輩にその魚の話をしたら、北海道の魚だったようで、「そんな魚あるのね」の一言で私は幼少から普段よく聞いていた魚の名前を振り返ってみた。コマイ・アブラコ・ソウハチ・マツカワ・ウグイ・チカ・ニジマス・ハタハタまあ他…

小樽ワインが甘いから

誰が想像できただろう。学生時代一つのクラスを隔ててそこにいたのは今の夫で、当時私達は一言二言言葉を交わした事はあったようだ。私はあまり記憶にない。そんなに記憶の片隅にもいない人と、結婚して一年になるのだ。不思議。11日は初めての結婚記念日で…

仕事中ブラインドの隙間から見えたオレンジの空が綺麗だったから

地上20階以上なのに。電車の音は聞こえるのね。2年ここで働いていて初めて知ったの。私普段こちらのエリアにいないものだから、こういった気付きは新鮮だなと感じたの。この美しい景色の写真が撮りたかったのだけれど室内の明かりが邪魔をして、ここままこの…

コロナコロナってビールじゃないんだからよおおっ!

昔は仕事帰りに先輩たちと飲んで、ぷしゅー!お、おいしいいい!ってビール流し込んで感動したり、10人くらいで集まって狭い掘りごたつの席に押し込められてテーブルに頭打つけながら寝てる人がいたり。あの日常が戻る日は多分、数年は来ない。悲しいけど、…

私は常日頃考えているのです。隣に座ったおやじがなぜ近づいてくるのかを

なんで?せっかく座れた電車でどしんと幅をとるおじさん。腕を組んでこっちにはみ出してきたり、足を広げたり。1ミリだって左のおやじに触れたくないから、右へ右へとずれる私。右へ右へとずれるおやじ。今日もおやじとの戦争は続く。

24歳の記憶。その2

ああ、仕事中泣いちゃったな。しかもお客さんに見られたとか情けない。恥ずかしい埋まりたいよおー、ってそんな事考えながらあの日から数日経っていた。お昼休み。12階から2階の広場へ向かう。そこはキッチンカーがいくつあり、私はたまにお弁当を買ってオフ…

頭内爆発音症候群って知っていますか?

眠りにつく時、うとうとしたとき、拳銃のような爆発音で飛び起きる。初めてなった時は、あ、これくも膜下出血だ。私死ぬのか。って本気で思って焦りましたが、何度もなると、ああ、またか。程度。閃光が走る時もある。私は昔からよく眠り、ママにはうちの眠…

24歳の記憶

私は外資系企業の受付で、日々業務に終われていた。なんとなく始めた派遣社員が派遣会社のゴリ押しで正社員になっていた。勤務地は落ち着いた芝公園から赤坂へ移動になり。ほんとうに忙しかった。鳴り止まない電話。絶えない来客。山盛りの請求書。さてどこ…

もう一口

ひと口囓ると甘くて、もう一口、もう一回と回数を重ねて気が付いた頃には美味しくなくて胸焼けしていた。持て余していた。はやく、はやく腐ってくれたら良いのに。甘い一瞬を好物でもないのに空っぽの胃に流し込んでいた。ただそれだけ。気が付いたの。私は…

どんなに泣いても欲しいものは手に入らないけれど、忘れた頃に舞い込んでくるよ。

震える左手。アル中?アル中なの?仕事中震える左手を眺めながら、わたしはそんな事を考える。まさかね、何かバランスが悪いとか、疲れているとか、そんなところでしょう。気を取り直してメールを開く。15件。その一つ一つを、一字一句見落とさないようにゆ…

なるようになる。心変わりは世の常。

なにしても、悪いことなんてないんだよ。やりたいようにやればいい。人様に迷惑かけなきゃ、いいんだよ。遠慮してしまうよね。、わかるよ、私もそうだったから。でもそれって、遠慮してあなたは救われましたか?みんなに好きでいてもらうために自分をすり減…

ちょっとくらい狡い方が幸せになれるなんて、わたし前から知っていた。

でも誠実でいたいと思う。そしたらいつか、正直に生きたら良いことがあるはずって。そんな考えもおこがましいでしょうか。難しいですね。要領良くやるのは得意です。でもさ、何のためにわたしは笑っているのかなって考える日もあるわけで、うまく切り離せる…

目を閉じて感じたのは味だった。長い苦い味

私は大抵眠っていて、睡眠時間が長くなると、こっちの世界が本当なんじゃないかと考える。この曖昧でもやもやした気持ちいい世界は残念ながら私の世界ではないのだが、これを本当の世界と考えるとちょっと、ちょっとね、楽になるの。だって現実は狡さといら…

そんな気持ちもこんな気持ちもある私なの。

まつげを伸ばした。3000円で理想の顔は近づけるのである。施術後に渡された鏡に写る私は、いつもより可愛い。目がぱっちりとすると可愛いね。欠点はあっても一部でも可愛い!って思えたらそれはそれは嬉しくて、長いまつげにうっとりするのです。誰の評価も…

私は気持ちに応えられるのか、不安になる時があるのです。

夫は私が初めて選んだ家族。生まれた時から決まっていたわけでもなく、私が自分の意思で初めて作った家族です。そんな彼よりも、今の私は仕事のことを考えてしまうのです。仕事って、唯一自分の頑張りが評価される。そんな場所だと思うのです。田舎町で生ま…

東京タワー好き?私は好き。スカイツリーよりずっとね

私の中で東京タワーって、あの日を思い出す為にあるの。上京して最初に勤めた場所は芝大門。三田線の芝大門。小さなビルなのに、当時の私にはとても大きく感じたんだ。今でもたまに、嘘。稀に。近くに行きたくなって、この気持ちはなんだろう?怖いもの見た…

溶けた瞬間、わたしはとても気持ち良くて、このまま落ちたいと思った。睡眠とは3大欲求の中でわたしが1番大事にしているものです。不思議なのは、どんなにふかふかでパリパリのシーツの上で溶けようとしても、お家が1番なこと。ソファの上でも平気だよ。気付…

見えないものを探してみたくなったり

左手に持った缶チューハイは今にも滑り落ちそうで、私はいつ寝てもおかしくないの。暑い部屋に冷えた酒。寝ない方が無理じゃない?今日はアンニュイな気持ちです。どれくらいアンニュイかと言うと、中学の頃教室で課題曲の練習をするでもなくラジカセでスピ…

私の嫌いな人間に日々近づくのが嫌なのにやめられない。

深夜に窓を開けたまま大声で相手を罵倒する。普段なら絶対やらない事を最近している。喧嘩になるとそう。結婚してから世間体を気にする夫。昔は逆だった。喧嘩で感情的に口から言葉を吐き出す人が嫌いで、私はそんな事では全く怯まないのだが、夫のそう言う…

久しぶりの外食、美容室。少しずつ日時を取り戻す私の週末の話です。

オーダー表を受け取った店主が大きな声で笑ったものだから、私は驚いた。「来ました、かあー、店やってて初めてだよ。ありがとね!」そう、ここのお店は注文するものは全て各自テーブルにあるオーダー表に書くのだけれど、入店とともに頼んだ瓶ビールは既に…

この味覚えてる。

これはフランスワインであり、私があの日飲んだワインはチリワイン。なのに、なんでこんなに同じ味がするのでしょう。あの頃の私は毎晩映画をみて、暗闇の中で、毎晩一本赤ワインを開けていた。いくら飲んでも酔えなくて、好きな映画を何度も繰り返し観て、…

私の隣で眠ろうとしている姪の右手が私の枕の下に潜り込んできた

この愛おしさ、つたわるでしょうか。どうしたの?と私が発すると、冷たいとこ、探してるの。と照れながら微笑む姪の、可愛いを詰め込んだむちむちの、子供に似つかわしくないあかぎれの多い右手が、思い出すと泣けちゃうくらい愛おしいのです。これは今日起…

今日はストロベリー味

毎度口にする前に同じ動作を繰り返す。袋に手を押し込み、どれにしようか、目を閉じたまま指先を踊らせる。胸も躍る。これだ。目を開けると、オレンジ。一番引き寄せたくはなかった味である。ペコちゃんの飴のお話です。酒で火照った顔面を少し落ち着かせよ…

私保菌者かも。映画の中の世界じゃない。

映画の中みたい。夕方のニュースを見ながら自然と言葉がこぼれ落ちた。これは現実。0歳児が心肺停止なのも、志村けんが死んだのも、世界中で36,342人もの人が死んでしまったのも、全て現実。まるでゾンビ映画を観ているようだと感じた人も少なくないのではな…

君まで0センチ

ぴったりとくっついています。知らない人の吐いた息を薄い布越しに自分の肺へ吸い込んで酸素は私の体を駆け巡り、もともとあった私の酸素と、このぬるいもやもやと入れ替わるのだろうな。毎日そう。通勤電車の話です。隣の人も自分も保菌者かもしれない。本…

溶けてしまいそう

ここ数日、いえそれよりずっと前から眠たくて眠たくてしょうがないのです。どれくらい眠たいかって聞かれたら、仕事中に手元のメモに眠たい眠たいおやすみ。と落書きをするくらい眠たいのです。眠たいだけではなくパソコン入力しながらいびきをしそうになっ…

過去は変えられないしいくら思い巡らせてもその判断をしたのは自分で

思い出しただけで目頭が熱くなったり、悲しくなったり、時には憎しみだったり。携帯の奥底にそれはあって、久しぶりに遡るデータフォルダは、あの日を思い出させてくれた。いや、そうじゃないな。半ば強引に思い出させた。あの日のあの瞬間。ほんのささいな…