もう一口

ひと口囓ると甘くて、もう一口、もう一回と回数を重ねて気が付いた頃には美味しくなくて胸焼けしていた。持て余していた。はやく、はやく腐ってくれたら良いのに。甘い一瞬を好物でもないのに空っぽの胃に流し込んでいた。ただそれだけ。気が付いたの。私は塩辛い方が好きってこと。その瞬間甘いは汚いに変わり、知れば知るほど魅力がなくなっていった。なんてつまらないものだろう。でもしつこくて、食べてってしがみついてくるのもだから、ゴミの日に捨てたんだ。言うこと聞かないものは全部嫌い。好きだの可愛いだのそんなのいらない。欲しいのは、絶対的な忠誠心。