二日酔いと貧血と共に

キッチンドランカー東京OL(常に貧血)

私は気持ちに応えられるのか、不安になる時があるのです。

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夫は私が初めて選んだ家族。生まれた時から決まっていたわけでもなく、私が自分の意思で初めて作った家族です。そんな彼よりも、今の私は仕事のことを考えてしまうのです。仕事って、唯一自分の頑張りが評価される。そんな場所だと思うのです。田舎町で生まれ育ち、狭い世界しか知らなかった。外を歩けばあそこの家の娘さんはもう高校生。あの高校に通っているらしい、海外にホームステイしたらしい。そんな、悪意はなくても私生活が覗き見されているような田舎の生活に飽き飽きしていた。悪いことばかりではない。町の人の目が温かく感じたこともある。けれど、大人になるにつれ色んな声が聞こえて、ここにいたくないと感じたの。それでも、あまのじゃくなのか、たまに無性に帰りたくなり、帰ったら帰ったで、ああ、この町も人も、成長しないのだな、と感じる。同時にとても懐かしく、心地よくも感じる。相反する気持ちに動揺しながら、あっという間の一週間に後ろ髪ひかれながら、新千歳空港へ向かう。飛行機から見渡す外の世界は、これまでの一週間が夢だったかのように遠い世界に感じるの。置いてきた色んなものが愛おしくて、泣きそうにもなる。でも今の私の生活の拠点は、東京。人で溢れかえって、コンクリートジャングルで息が詰まりそうになるこの場所に戻ると、ああ、帰ってきたなと安心する場所にもなりました。これは年月が解決してくれたのだと思う。今日もまた、ウィスキーをちびちび飲むの。キッチンの椅子に体育座りし、音楽をかける。もう酔っ払っているから歌詞なんてどうでもいい。薄暗いキッチンから、見てもいないテレビ番組が視界に入る。

もう7月の半ばなのに、足の指先は冷たいよ。寒いね。でも嫌いじゃないんだよ。歌詞なんて気にしていないと言ったけど、歌声がいい感じに響いて眼頭が熱くなった。ああ酔ってるわ。もう一杯ひっかけてから、ソファで寝ようと思うんだ。