二日酔いと貧血と共に

キッチンドランカー東京OL(常に貧血)

金魚も私も割と酸欠

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エアーの気泡に群がる金魚は想定100匹。狭い長方形の桶に詰め込まれたオレンジの魚は金魚。私はね、金魚すくいが得意。自分ルールがあって、弱っている金魚はすくわないのだ。この時期の金魚って何て風流なのでしょう。ひらひら揺れる尾びれは涼しくもあり時に官能的にすら感じるのです。そおっとポイと右腕を清潔ではない水に沈め、素早く水を切ると金ちゃんが左手の桶に飛び込んできた。ああ、連れて帰りたいって気持ちでいっぱいに高鳴る胸を沈ませながら、他にも二匹捕まえました。「持って帰る?」と尋ねる女の的屋に、「お願いします」と答えると簡易的なビニールに三匹の金魚が流し込まれた。この瞬間から私の全意識が右手に集中した。私の右手には三つの命が託されているのだ。可愛い。パクパクと苦しそうに水面に顔を出す彼らをはやく水槽に移したい気持ちでいっぱいになった。魚を愛でる余裕が、私にもあったのか。幼い頃金魚を飼っていて、腹を上にして浮かんでいた金魚に特段の感情は湧かさなかった。20年経った今それを思い返すなんて想像もつかなかったし、私順調に年を重ねているのだと思う。ああ寝よう。