二日酔いと貧血と共に

キッチンドランカー東京OL(常に貧血)

この味覚えてる。

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これはフランスワインであり、私があの日飲んだワインはチリワイン。なのに、なんでこんなに同じ味がするのでしょう。あの頃の私は毎晩映画をみて、暗闇の中で、毎晩一本赤ワインを開けていた。いくら飲んでも酔えなくて、好きな映画を何度も繰り返し観て、遮光カーテンから漏れる光と共に眠っていた。生活リズムがまるで逆転していた。こんな生活にうんざりしていた。色々なことが嫌になって、東京へ行こうと、決めた。場所が変わったら私も変わり、全てが好転するように思えた。ホステスとして働き始めたのもその頃。100万たまったら引っ越す。それを目標に少しの間、働いた。若さを切り売りするのは簡単に見えて、そうではない。人の汚いところをみる仕事だから、自分も少しずつ汚れていく気がした。人の吐口になるのはとてもエネルギーを使う。そんな世界でも、嫌なことがあっても、この期間が後の人生に大きな影響を与えてくれたのだと、会社員になった今、思う。だって1番落ちていた自分より今の方がお酒にも酔うし、ごはんも美味しいんだもん。嫌な思いして稼ぐ大金よりも、コツコツ稼ぐ安定した収入の方が私には合っている。私には。東京へ来たばかりの頃は貯金を切り崩してさ、あまりお金はなかったけれど、年々好きなものを買えるようになっていって、ステップアップしていくのが楽しかった。身に付けた知識や技術は私だけのものだから。今となってはかつての自分が過ごしたあの時も、大事な思い出になり、視野が広くなったのもあの日の自分がいたからだって思うようになったよ。だから無駄なことなんてなに一つなくて、日々起こる小さいことや大きいこと、全てのことには意味があって、いろんな選択をして色んなものを捨てて、それは全て自分の意思決定で、今ならこうしてたのにな、とか、そりゃ考える日もあるけれど、当時のその選択の上に成り立つ今日の私なので、全てが愛おしく思えたフランスワインの深夜なのです。