痴漢、ナンパされない為に
捨てられないもの、人でもいい?
捨てられないものはなにかと聞かれれば、わたしは夫と答えるだろう。交際中から喧嘩ばかりしているの。同棲中に喧嘩をして、3ヶ月間口を聞かなかったこともあるけれど、2年前に結婚して、わたしの隣にはむちむちの赤ちゃんが、ふええ、と寝返りを繰り返している。捨ててしまえば良かったと思うことは何度もあるけれど、捨てていたら隣にいるむちむち赤ちゃんに出会うことはなかったのだから、過去の自分の選択は全て正しかったの。きっとそう。それにしても3ヶ月間会話をしなかったのに狭いアパートでシングルベッドでくっついて眠っていたあの時のわたしと夫。シュールすぎる。
部屋とアルコールとわたし
頭の中をたくさんの言葉が飛び交う。まるでいろんな人が住んでいるよう。文字にしてしまうと相当おかしな人のようだけれど、誰だって、一度は経験あるでしょう?今日のわたしの頭の中は黒い。真っ黒。鼻から、細く長ーいため息。口を開くのも面倒だ。テレビを消すのも、トイレに行くのも。けれどお酒を飲むのは全然面倒じゃないな。眠るのも。欲に忠実なのかもしれない。セックスするのは面倒、歩くのは面倒、でも好きな場所を歩くのは面倒じゃない。考えるのは好き。でも役所系の手続きとか、保険のことを考えるのは嫌い。考えることね、たくさんある。生きるのってめんどくさい〜。息して、お風呂入って、納税してる。褒めて褒めて。生きることはお金を払うこと。お酒にお金を払うのはすき。お酒でわたしの身体は喜ばないけど、わたしの頭は喜ぶんだ。こころの健康と身体の健康を天秤にかける。こころに傾く。だめだめこんなんじゃ、だってわたしお母さんなんだよ!?隣で寝息をたてる赤ちゃんが、成人するまではお金を稼ぎたいな。成人までと書こうと思ったら成人は18才だもんね。時代とは。18じゃ大学も卒業していない。20才もそうか。そう考えたら彼が彼の望んだ家庭を築くまで元気でいたいな。でも更に考えたら、いつか彼が疲れた時にいつでも帰って来れる、そんな場所でいたいな。いくつになっても理由は聞かないよ。生きていてくれればそれでいいよ。ぐるぐるぐるぐる考えていると、あれ?わたしおばあちゃんになるまで死なないじゃんって思うわけ。ぐぬぬ
あかいクレヨン
どんないろがすき? で始まる童謡。ふとテレビから流れてきたこの歌を聞いていた。面白いもので、映し出される歌詞を見なくても唇が勝手に動くのだ。母がわたしに歌い聞かせてくれた、たくさんの童謡は、今でもわたしを楽しませてくれる。物心がつく前からよく歌ってくれていたのだろう。今はわたしが、腕の中の小さい赤ちゃんにこの歌を歌う。じっとこちらを見つめる、黒くきらきらしたその瞳はとても綺麗で、嬉しそうにわたしの服の袖を握る。こんな些細なことで、涙が溢れそうになる。感じたことのない感情で埋め尽くされ、満たされ、あたたかくなる。こんな赤ちゃんに敵なんていないのだけれど、どんな敵が来ても、何が起きても、腕の中の彼を絶対に守るんだ。わたしはその為ならなんだって出来る。そんな自信が湧いてくるのです。女は弱し、されど母は強し。わたし、この言葉の意味を、体感しているの。
押し込んだ気持ちは涙が浄化してくれる?
疲れてしまったんだ。結構前からそう。産後夫に嫌悪感を抱くって言うでしょう?わたしも。どんどんパートナーから憎い存在へと姿を変えてしまったの。わたしのフィルターがおかしいのか、それとも度数の合ったメガネのせいか。どちらにせよ焦点が合わないのだ。彼が見えないの。衝突しながら、細い積み木を重ねていった結果、わたしの心はゆらゆらと、今にも崩れそうなジェンガのよう。だって、今疲れていてすかすかなんだもん。胸の中に、積み直しても積み直しても埋まらない穴だらけの塔が出来た。そこを通る風に聞いた。弱ったわたしを倒すのは簡単なんだって。