二日酔いと貧血と共に

キッチンドランカー東京OL(常に貧血)

痴漢、ナンパされない為に

都心に住んでいる女性なら誰しも痴漢、ナンパに苦労したことがあると思うの。上京したての7年前、わたしは丸ノ内線の一斉乗車の列に並んでいたのだ。電車が到着し、物凄く多くの人が降りてきた。そんな時、わたしのコートをたくし上げ、おしりをギュギュギュッ!と誰かに握られた。触られるどころじゃない。握られたのだ。えええ、電車の中じゃなくてホームで痴漢された!もうショックより腹立たしたが勝ち、鬼のような形相でそのまま電車に乗り込んだ。会社に着くと、何かあった?と同僚に聞かれたので、会社に着いても尚わたしは鬼のような顔をしていたのだろう。だって、そんな事ある?ホームで人の流れに紛れ込んだお尻を触られるなんて!!しかも、嫌だけど、絶対嫌だけどコートの上からならまだしも、コートめくってお尻を触るって、いやいや怖いわ〜東京怖いわ〜世紀末だわ。田舎でそんな事やってみ?スカスカのホームでみんなに見られるし、末代までその家の恥となり家族はその町を引っ越さなきゃいけなくなるよ?それくらいの事が東京では起きちゃうの。タイムマシンで戻れるのなら未来のわたしが過去のわたしを守り、痴漢をフライパンで事前に殴る。そう思うのです。生きにくい都会で女の身一つでどう戦おうか考え辿り着いた答えは、自分がやばいやつになること!満員電車ではイヤホンから流れる音楽に合わせて身体を小刻みに動かし音楽を感じ頭を上下に振る。なんなら口パクで歌う。夜道はがに股で歩き、腕は大きく振る。すれ違う人が男だった場合は白目を剥き鼻の穴を大きくし、顎はしゃくれされる。とにかく関わりたくない女になるのです。この結果痴漢は一切されなくなり、夜道でも前より胸を張って歩けるようになった。そして帰宅後酒を飲みながら考えるのです。わたし、なにやってんだろって。





























捨てられないもの、人でもいい?

お題「捨てられないもの」

捨てられないものはなにかと聞かれれば、わたしは夫と答えるだろう。交際中から喧嘩ばかりしているの。同棲中に喧嘩をして、3ヶ月間口を聞かなかったこともあるけれど、2年前に結婚して、わたしの隣にはむちむちの赤ちゃんが、ふええ、と寝返りを繰り返している。捨ててしまえば良かったと思うことは何度もあるけれど、捨てていたら隣にいるむちむち赤ちゃんに出会うことはなかったのだから、過去の自分の選択は全て正しかったの。きっとそう。それにしても3ヶ月間会話をしなかったのに狭いアパートでシングルベッドでくっついて眠っていたあの時のわたしと夫。シュールすぎる。
















部屋とアルコールとわたし

頭の中をたくさんの言葉が飛び交う。まるでいろんな人が住んでいるよう。文字にしてしまうと相当おかしな人のようだけれど、誰だって、一度は経験あるでしょう?今日のわたしの頭の中は黒い。真っ黒。鼻から、細く長ーいため息。口を開くのも面倒だ。テレビを消すのも、トイレに行くのも。けれどお酒を飲むのは全然面倒じゃないな。眠るのも。欲に忠実なのかもしれない。セックスするのは面倒、歩くのは面倒、でも好きな場所を歩くのは面倒じゃない。考えるのは好き。でも役所系の手続きとか、保険のことを考えるのは嫌い。考えることね、たくさんある。生きるのってめんどくさい〜。息して、お風呂入って、納税してる。褒めて褒めて。生きることはお金を払うこと。お酒にお金を払うのはすき。お酒でわたしの身体は喜ばないけど、わたしの頭は喜ぶんだ。こころの健康と身体の健康を天秤にかける。こころに傾く。だめだめこんなんじゃ、だってわたしお母さんなんだよ!?隣で寝息をたてる赤ちゃんが、成人するまではお金を稼ぎたいな。成人までと書こうと思ったら成人は18才だもんね。時代とは。18じゃ大学も卒業していない。20才もそうか。そう考えたら彼が彼の望んだ家庭を築くまで元気でいたいな。でも更に考えたら、いつか彼が疲れた時にいつでも帰って来れる、そんな場所でいたいな。いくつになっても理由は聞かないよ。生きていてくれればそれでいいよ。ぐるぐるぐるぐる考えていると、あれ?わたしおばあちゃんになるまで死なないじゃんって思うわけ。ぐぬぬ







































あかいクレヨン

どんないろがすき? で始まる童謡。ふとテレビから流れてきたこの歌を聞いていた。面白いもので、映し出される歌詞を見なくても唇が勝手に動くのだ。母がわたしに歌い聞かせてくれた、たくさんの童謡は、今でもわたしを楽しませてくれる。物心がつく前からよく歌ってくれていたのだろう。今はわたしが、腕の中の小さい赤ちゃんにこの歌を歌う。じっとこちらを見つめる、黒くきらきらしたその瞳はとても綺麗で、嬉しそうにわたしの服の袖を握る。こんな些細なことで、涙が溢れそうになる。感じたことのない感情で埋め尽くされ、満たされ、あたたかくなる。こんな赤ちゃんに敵なんていないのだけれど、どんな敵が来ても、何が起きても、腕の中の彼を絶対に守るんだ。わたしはその為ならなんだって出来る。そんな自信が湧いてくるのです。女は弱し、されど母は強し。わたし、この言葉の意味を、体感しているの。













押し込んだ気持ちは涙が浄化してくれる?

疲れてしまったんだ。結構前からそう。産後夫に嫌悪感を抱くって言うでしょう?わたしも。どんどんパートナーから憎い存在へと姿を変えてしまったの。わたしのフィルターがおかしいのか、それとも度数の合ったメガネのせいか。どちらにせよ焦点が合わないのだ。彼が見えないの。衝突しながら、細い積み木を重ねていった結果、わたしの心はゆらゆらと、今にも崩れそうなジェンガのよう。だって、今疲れていてすかすかなんだもん。胸の中に、積み直しても積み直しても埋まらない穴だらけの塔が出来た。そこを通る風に聞いた。弱ったわたしを倒すのは簡単なんだって。
















歪んでこそ美しく

右目から一粒溢れた涙。アルコールが回った私の脳内で、なにがこの涙を押し出したのかを考える。私は今ベッドの上に横たわりチューハイを飲んでいる。アルコールに侵食された私には除湿器の轟々鳴る音も今ならとても心地よいのです。なのに何故、涙?湿度が酷くて除湿機つけているんだもん。乾燥からくるものじゃない。身体は潤っている。もしかして、心が枯れて、涙を流したのかな。渇いたこころには、何が必要なのだろう。鏡に映る自分はどことなく疲れていて、いつもの私じゃない。



なんて、ただの酔っ払いの戯言なのです。














抱きしめる

放った言葉を掃除機のように吸い取ることが出来たのなら、私はもう少し生きやすかったのかもしれない。人の心は自分が思うより脆くて、強くて。どんなに笑顔に見えて受け入れたように見えていても、あと一言で深い谷の底に堕ちてしまうの。その背中を押すことも抱きしめて山を登ることも、私の一言にかかっているの。そう思うと安易に口に出してはいけないって思うのだけれど、人間だもの、出してしまうこともある。それが怖いから全て飲み込むと、自分が谷底に堕ちてしまう。生きるのって難しい。でもね、相手を突き落とすくらいなら自分が堕ちた方がまだましだからって、飲み込んでくれる人がたくさんいること忘れちゃいけないね。