二日酔いと貧血と共に

キッチンドランカー東京OL(常に貧血)

どうしてこうなったのか、思い出せないの

起きてすぐ感じたのは酒の味と吐き気と頭痛と下半身の寒さだった。布団をめくると下着を身に着けていなかった。どうしてこうなってしまったのか。記憶の断片を手繰り寄せる。ああそうか、あそこまでは記憶あったのにな。後悔の念しかない。お酒の失敗って情け無い。膝まで下げられた下着を引っ張り身につける。どこまでやりましたか。それが第一声。彼はベットにいなくて、イスに座りながら申し訳なさそうに私に目を向けた。

すぐ眠ってしまったから、あのあとすぐやめたよって。忘れてください、すみませんでした。10回くらい繰り返し言った。忘れられないよ、酔いつぶれた君を連れて帰ってごめん、家に帰すべきだった。どうでもいいけど気持ち悪くて、ちょっとごめんってトイレに行き便器に頭をしずめる。はー、やっちまった。やらかした。まじかよー死にたいーってずっと考えてた。確かに私は自暴自棄だったけれど、自分のだらしなさにヘドが出る。いや今はヘドより嘔吐物か。なかなか上手く吐けなくて咳をしながら震える左手でタオルを引っ張った。早く帰りたいのに身体が言うことを聞かず、動けない。大量に流し込んだ酒は今になって力を発揮する。

こうして私は大事なものを一つ一つ手放すんだなー。数時間前にこれ以上飲むとだめだって思っていたはずなのに、それで前も失敗してややこしい事が起きたのに、学習しないな、アル中かよ。ベランダ、借ります。しばらくベランダでしゃがみこんでいた。風邪ひくよって上着をかぶされる。はああ、何やってんだよーって呟いたら、ごめんねって。正確にはやってないんだけどさ、他人の家にのこのこついてく自分がたまらなく嫌いだ。重たい身体に鞭を打ち、立ち上がりフラフラして床に丸まり年々重くなる二日酔いを憎み、自分のへなちょこ具合を憎み、時間を見計り今にも吐きそうな口にガムを放り込みマスクをして、帰った。引き止められながら。二日酔いだけどまだ普通に酔っていてハイになっていた。



めんどくさいから、私は今日のこと、忘れます。



※※上記は数年前の下書き